再生紙は地球に優しい
紙は環境問題の希望
地球温暖化や海洋プラスチックごみなどの環境問題がさらに注目されるようになってきた昨今、石油由来製品の使用の抑制の動きが活発化しています。この中で、容器や包装などをプラスチックから紙へと変換する企業が増えています。
石油由来のプラスチックは、最終的に二酸化炭素を排出しますが、大気中に放出されれば固定化は困難です。一方、紙は、木材由来です。植物は、成長するときに、体内に二酸化炭素を固定化します。木材を伐採して使用しても、その伐採した場所にまた植林すれば、使用した木材と同じ量の二酸化炭素を固定化することができます。このように二酸化炭素の排出量と吸収量が同じとなり二酸化炭素が増加しないことをカーボンニュートラルと言います。紙は、カーボンニュートラルの代表とも言えます。
また、海洋プラスチックごみの問題でも注目されています。ストローや袋を、プラスチック製から紙製に転換しようとする試みが聞かれているところです。生分解性プラスチックの研究開発も進められていますが、紙も有望な素材です。
さらに、近年は台風や地震などの自然災害がさらに懸念されているところです。木材の伐採を含む森林の適切な維持管理は、地盤を強固にし、土砂災害の防止などにも寄与することが期待されます。
再生紙は森林を守る
近年の調査によると、「紙の生産・消費が世界の森林減少の原因」と言う話は誤りだとされています。近年の森林減少の原因は農地等への転用、違法伐採、非伝統的な焼畑農業、燃料用木材の過剰な採取、森林火災などがその原因であり、製紙用の森林面積は一定となっていると評価されました。
製紙業界の努力は、伐採した土地への植林活動のみならず、古紙のリサイクルにもよります。木材パルプと古紙パルプの比率がおよそ4 : 6であることからも分かるように、古紙のリサイクルへの努力が森林資源利用への圧力を抑えています。再生紙は、やはり森林を守る大事な資源です。

再生紙は省エネに貢献
木材には黒液と言う成分が含まれており、木材パルプを作るときに取り出すことができます。この黒液は、燃やすことでエネルギーとして製紙に利用することができます。黒液を燃やすと二酸化炭素が発生しますが、もともとは木が成長する際に取り込んだ二酸化炭素であるため、カーボン・ニュートラルです。黒液を利用するだけでは足りない分のエネルギーは、化石エネルギーによりますが、黒液のおかげで大きく抑えることができます。
一方、古紙パルプを作るときには、黒液を取り出すことができないため、製紙に利用するエネルギーは、石油由来のものとなります。必要なエネルギーは、木材パルプから紙を作る場合の方が古紙パルプから紙を作る場合に比べて大きいのですが、このうち使用する化石エネルギーは、古紙パルプから紙を作る場合の方が大きいとされていました。
しかし、近年の努力や技術革新により、製品や用途によるばらつきはあるもののどちらのパルプにおいても大差ないものとみられています。
