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更新日:2025年5月15日

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目次

 

再生紙・古紙とは

再生紙の紹介

再生紙とは

紙はパルプから作られます。パルプとは、原料から他の成分を取り除いた植物繊維のことで、原料により大きく2つに分かれます。皆さんの多くは、「木から紙を作る」というイメージを持っているのではないでしょうか。この工程を言葉で表すと、木材からパルプを作り(これを「木材パルプ」と言います)、それを漉いて紙にするものです。一方、こうして作られた紙は不要になると「古紙」と呼ばれます。古紙は、インクなどの余分な成分を取り除いて再びパルプの状態に戻し(これを「古紙パルプ」と言います)、紙に作り直すことができます。皆さんが使った紙や、製紙工場で紙を生産する過程で発生する端材(切れ端)などが古紙になります。なお、リサイクルされる古紙パルプに対し、木材パルプは初めて使われることから「バージンパルプ」、「フレッシュパルプ」とも呼ばれています。実際に身の回りに流通している古紙パルプ由来の紙製品の多くは、古紙パルプ100%ではなく、木材パルプを混ぜたものがたくさんあります。再生紙とは、このように古紙パルプ100%または古紙パルプと木材パルプを混ぜ合わせた紙製品を言います。なお、再生紙と表示して販売する場合は、「古紙パルプ配合率◯◯%以上」と表示することとなっており、古紙パルプの使用状況が分かります。

古紙パルプへの木材パルプの配合

古紙は、通常インクや油などの汚れ、細かいゴミと言った、いろいろな成分が含まれています。この古紙パルプ100%の再生紙を木材パルプ100%の新品の紙と同じように白く強い状態にするには、多くのエネルギーやコストが必要となります。このため、木材パルプを混ぜることで、製品や目的やニーズに合った製品を作ることができます。ただし、古紙パルプ100%の紙製品も販売されています。製品にもよりますが、トイレットペーパーやティッシュペーパーのように、使用したらもうリサイクルできない用途の製品には、古紙パルプ100%のものが多くあります。

再生紙を使用した製品

トイレットペーパー、ティッシュペーパー、タオルペーパーなどの家庭紙は、回収・リサイクルには向きません。このことから、リサイクルできないこれらの製品に、できるだけ再生紙を使うことが、エコにつながります。皆さんも、これらを購入するときに、再生紙を意識してみてください。再生紙は「古紙パルプ配合率◯◯%以上」と書かれています。家庭紙の他にも、職場で使うコピー用紙などでも、最近は再生紙が普及してきています。コピー用紙と一言で言っても、普通紙、上質紙、再生紙などいろいろな種類があります。この中で、さらに再生紙と言っても、古紙パルプ配合率もメーカーや製品によっていろいろです。種類や製品によって、文字に向いているもの、写真印刷に向いているもの、長期保存に向いているものなど、向き不向きがあります。コピー用紙の目的とともにエコの観点も取り入れて、賢い選択をお願いいたします。

古紙リサイクルの意義

古紙リサイクルはなぜ必要なのでしょうか。ここでは、古紙をリサイクルすべき理由として考えられる4つのポイントを紹介します。

1.原料の安定確保

木材パルプの原料となる木材は、その約7割を海外からの輸入に頼っています。一方、古紙は、ほぼ全てを国内での回収により調達しています。国内で使用されるパルプ全体における古紙の割合は約6割ですから、原料の安定供給に古紙がいかに貢献しているかが分かります。なお、古紙の回収率は8割程度です。これは、使用された紙の中で、汚れたり回収できなかったりしてリサイクルに回せないものが発生するためです。また、8割程度の回収率と言っても、その全てが国内で使用されるわけではありません。再生紙の性能に合わせて古紙パルプ配合率が設計されるため、使用されずに残る約2割の古紙は、海外に輸出されています。これにより、国内のみならず国際的な安定供給にも貢献しています。

※新型コロナウイルス感染症の影響により令和2年2月ころに発生した店頭におけるトイレットペーパーの不足には、多くの方がご不安になったものと思います。この原因は、輸出入の停止によりトイレットペーパーの原料も不足するという誤った情報によるものです。確かに一時の急激な需要の高まりにより、店頭から姿を消す事態が発生しましたが、上記のように原料の多くを国内の古紙であるトイレットペーパーについて、こうした心配はありません。ただし、地震や豪雨などの大規模災害により、物流が停止してしまうと、回復までの間は入手が困難となります。食料や水などと同じように、生活必需品としてトイレットペーパーもご家庭の状況に合わせた適度の備蓄をお願いいたします。

2.資源の有効利用

古紙のリサイクルは、用途によりますが、一度だけでなく数度行うことが可能です。資源の有効利用は、世界で目指しているSDGsにも合致した理念です。
また、トイレットペーパーやティッシュペーパー、タオルペーパーなどは、使用したものをリサイクルすることができません。だからこそ、これらを購入するときに、再生紙を選ぶことは重要なのです。各メーカーは日々研究を重ね、古紙を使いつつも品質の良い製品を作るよう、頑張っています。
「古紙を使っているから硬そう」、「古紙が混ざっていると汚れが着いていそう」、「………」、そんなイメージを持っているのなら、心配いりません。一度お店で手に取ってみてください。

3.森林資源の持続可能な利用

古紙をリサイクルするということは、その分木材の使用量を抑えられるということになります。これによって、森林の保全に役立ちます。製紙業界では、木を伐採した土地への植林と古紙のリサイクルの両方を取り入れることで、現在の森林面積を保つよう努力しています。これからも森林を維持するためにも、古紙のリサイクルをお願いいたします。

4.廃棄物減量化

古紙を廃棄物としないことで、廃棄物の量は大きく抑えられます。これは、焼却炉の延命など、行政コストの削減にもつながります。限られた行政の予算を有効に利用するためにも、古紙のリサイクルという皆さんのひと手間が大切です。
もちろん、古紙を焼却してしまえば二酸化炭素を増やすことにもなります。環境の悪化を少しでも食い止めるため、リサイクルに回しましょう。

日本の古紙回収率・利用率

環境にやさしい社会をつくりましょう。

日本の古紙回収率と利用率は上昇傾向にあります。今後も高水準を維持していくためには、家庭やオフィスから出る古紙回収量を増やし、古紙利用製品を積極的に購入することが必要です。私たち一人ひとりの取り組みが、環境にやさしい社会をつくるのです。

わが国の古紙回収率と古紙利用率の推移

資料:上記数値は、紙・印刷・プラスチック・ゴム製品統計年報、経済産業省生産動態統計年報・月報に基づき作成したもの。