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更新日:2026年10月28日
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目次
【広報ふじ令和8年】特集 フィールドワークのまちへ、ようこそ
- 画像や図表などは、今号の目次にあるPDFデータでご覧ください。
「フィールドワーク」って聞いたことはあるけれど、実はよく知らない。
そのような人も、きっと少なくないはずです。
誰が、何のために、どのような場所へ行き、何をしているのでしょうか。
このまちで広がっているフィールドワークの取組を紹介します。
フィールドワークとは?
教室や机上の学習だけでは得られない生の情報を、現地に足を運んで観察・調査を通じて学ぶ方法です。
実際の場所や人、環境にふれることで、社会の仕組みや地域の特性を具体的に理解するための活動です。
体験を通じて、課題発見力や考察力が高まり、より深い学びにつながります。
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身延道散策(常葉大学)
なぜ富士市でフィールドワーク?
平成30年度に市内から大学がなくなったことにより、若者と地域が関わる機会が少なくなりました。しかし、若者の新しい視点や感性は地域に必要不可欠です。
富士市には、豊かな自然や産業、時代の変化に対応してきた歴史など、学びの種がたくさんあります。
”大学のないまち”だからこそ、学生に富士市を訪れてもらい、地域の魅力や課題を知ってもらうフィールドワークが適していると考え、この事業に取り組んでいます。
フィールドワークを通じ、若者との関わりを増やすことで、まちの未来を共に考えていきます。
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岳南電車訪問(静岡県立大学)
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FILS訪問(一橋大学)
フィールドワークを進める富士市の形
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ふらりば
拠点の整備と仕組みづくり
市では、フィールドワークを継続的に受け入れ、令和6年10月、中央図書館分館に、拠点となる「ふらりば」を開設しました。
また、学生の職場訪問やインタビューなどに協力する「ふらりばサポーター」の仕組みも整えました。
現在、26の団体・個人が登録しています。
様々な分野のサポーターと共に、地域ぐるみで大学と関わる体制づくりを進めています。
※ふらりばサポーターの登録については、8ページをご覧ください。
今年度行ったフィールドワーク
大学と市内の企業・団体などが連携し、様々なフィールドワークを行っています(★は、ふらりばサポーターと実施)。
★文教大学×日本茶茶茶
ほうじ茶を活用したソバーキュリアスドリンク(お酒をあえて飲まない人向けの飲料)のレシピをつくり、富士まつりで提供。試飲した人にインタビューを実施し、今後のほうじ茶PR展開を考察
★埼玉大学×岳南電車
利用者数の増加につながる多彩な企画に着目。多くの地域で存続が危ぶまれる公共交通機関について、岳南電車から得た知見から他地域への展開を検討
★岐阜大学×NPO法人ゆめ・まち・ねっと
「たごっこパーク」に参加し、こども未来課との意見交換を経て、民間と行政、両方の視点から地域のこどもの居場所づくりについて考察
湘北短期大学
大学生と富士見高校の生徒がチームを組み、富士本町商店街を探索。地元商店をインタビューし、その魅力をSNSで発信
国際医療福祉大学大学院
健康に影響を与える社会的・環境的な要因に着目。新富士駅周辺と吉原地区の生活環境を比較し、環境と健康の関わりを考察
早稲田大学
香港大学と合同チームを結成し、市内で訪問・聞き取り調査を実施。SDGsや市民協働など、市の課題を検討し、改善策を提案
大正大学メディア表現学部
市がまだ十分に発信できていない魅力を調査。学生の強みを生かしたPR動画を制作
モニターツアーを実施しました
モニターツアーでは、学生たちがフィールドワークを行う前に、教員が事前に市内の下見を行っています。
今年度は、市内の自然や産業、施設などを視察する1泊2日のツアーを開催。理系・経済系と文系・社会学系の2コースに分かれ、市内を巡りました。
- 理系・経済系コース
「ものづくりのまち」の最先端と循環型社会を体現する現場などを視察
・コアレックス信栄(株) ・丸火自然公園 ・ジヤトコ(株) など - 文系・社会学系コース
観光視点ではない「地域活性化・社会課題解決のリアル」を視察
・フィランセ ・みらいてらす・広見公園・やまたか農場・吉原商店街・Iris Nest Fuji伝法 など
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富士山かぐや姫ミュージアム視察
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東洋大学経営学部 経営学科 教授 富田 純一さん
製紙会社の生産技術がすばらしく、大いに知的刺激を受けました。
製紙会社訪問の後、富士山かぐや姫ミュージアムを訪れ、紙を作るのに必要不可欠な「水」の歴史を学びました。
学生を連れてくるなら、先にミュージアム、次に製紙会社の順で訪問するルートにしたいと考えています。
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神奈川大学経営学部 国際経営学科 准教授 王 中奇さん
多くの産業都市とは違い、製紙を中心に産業が発展していながら、自然が豊かであることに魅力を感じました。
富士市は、産業だけではなく自然もあるからこそ、多様な切り口で学習できる魅力的なまちだと実感しました。
フィールドワークに密着しました
研究のために現地を訪れた「静岡大学 人文社会科学部」の学生と、学生を受け入れた地域の人。
交流を通して、どのようなことを感じ、どのような変化があったのでしょうか。
交流したからこそ生まれた思いを聞きました。
Case1 愛智さんテーマ「須津の多様な農」
現場のリアルな空気を感じられる
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静岡大学 人文社会科学部 愛智 真之介さん
農業の可能性
フィールドワークが始まる前に須津地区へ下見に行ったとき、農家の人に声をかけられました。そのとき、「須津地区では、同じ土地で同じ作物を作っているのではなく、頻繁に育てるものを変えている」と聞きました。「同じ土地で同じ作物を繰り返し作る」という印象があったので、農業の可能性や奥深さに興味を持ちました。
4日間のフィールドワークでは、レモンなどを育てる(株)富士岳南農場の則武さんを訪ねました。
現場で掴むリアル
荒廃農地である茶畑に連れて行ってもらったとき、何も手入れしていない茶畑は3、4メートルほどの高さになることを知り、衝撃を受けました。自分の背丈を遥かに超える高さにまで成長した茶畑は、聞くだけではイメージできない迫力で、これは自分の目で見たからこそ感じられる学びだと実感しました。
そのほかにも、則武さんが農場を立ち上げたきっかけや、レモンを育てる理由についてお話を聞きました。則武さん自ら作業をしている姿をはじめ、地域住民に頼られている姿を間近で見て、則武さんの人柄や現場のリアルな空気を感じることができました。
大学生という立場だからこそ、机上の勉強だけでなく、受け身にならずに自ら現地へ足を運び、当事者の声に耳を傾ける姿勢や経験が大切だと気づきました。
若者の関心が地域活性化につながる
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妙連寺・(株)富士岳南農場 代表 則武 海源さん
お寺から始まる農業
私は、住職をしています。妙蓮寺で住職をしていたときに、檀家から荒れた農地のことで困っているという相談を多く受けました。そこで「何とかしなくては」と思い、(株)富士岳南農場を立ち上げました。
最初は檀家のためでしたが、次第に地域全体のために荒廃農地の再生に取り組むようになりました。耕した農地で何の農作物を育てていくか考えたところ、市場での需要や獣害などを受けにくいという観点から、レモンに決めました。
また、農場の働き手として、訳あって仕事を辞めてしまった人などの手助けになればと思い、社会復帰の第一歩となるような働く場を提供し、少しでも地域の役に立てるように取り組んでいます。
学生の視点が地域を救う
私は過去に大学の教授を務めていたことがあります。今回のフィールドワークに限らず、以前から地元小学校の出前授業などをはじめ、学生の学びに協力しました。若者が地域に関心を持つには、私たち地域住民が積極的に関わることが重要だと思っています。それが、地域活性化にもつながると考えます。
フィールドワークを受け入れるときは、整えた姿を見てもらうのではなく、ありのままの姿を見て、体験してもらうことが大切です。現地で、調べ、考え、実践してもらうことで、学生の学びは深まると思います。
また、それを共有することによって私たちも新しいことに挑戦していけるはずです。
スケジュール
1日目
13時
- 地域の人たちと面会(通称「お見合い会」)
- 翌日以降のアポイントメントの取得
17時
- 宿にチェックイン
- ノートの整理
2日目
9時
- イチゴ、米農家訪問
- カブ、ほうれん草農家訪問
12時
- 同行してくれた地域の人と昼食
13時
- 15種類以上の無農薬作物を栽培する農家を訪問
14時
- 須津地区まちづくり協議会主催講座「しゅうちゃんの農業塾」講師を訪問
15時
- 地域の畑を見て回る
夜
- 調査内容について教員と意見交換
3日目
9時
- JAふじ伊豆「すど良心市」を訪問
10時
- 25種類以上の作物を栽培する農家を訪問
13時
- (株)水野製茶を訪問
15時
- (株)岳南富士農場を訪問
16時
- レモン畑を見て回る
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(画像説明)写真1点
4日目
9時
- 地域の畑を見て回る
13時
- JAふじ伊豆須津支店を訪問
14時
- 「しゅうちゃんの農業塾」講師を訪問(2回目)
15時
- 地域の人にインタビュー
5日目
9時
- 全員ミーティング、フィールドワークの振り返り
Case2 ニーさんのテーマ「須津のこどもと駄菓子屋」
人とつながる温かさを知る
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静岡大学 人文社会科学部 ホエン イエン ニーさん
米田さんとの出会い
高齢者が多い須津地区のフィールドワークで、こどもの居場所やこどもが育つ環境について調べてみたいと思い参加しました。
初日は、「お見合い会」という学生と地域の人とのマッチングを行い、そのときにこどもの居場所づくりを行う米田さんと出会いました。
米田さんは、4日間のフィールドワークで、私がもともと関心を持っていた駄菓子屋だけでなく、須津地区でこどもと関わりのある様々な場所を紹介してくれました。また、ふだんからこどもとの関わりが深い米田さんと過ごすことで、私が知りたかったことやもっと掘り下げて考えたいことついて、たくさん話すことができ、学びが深まりました。
もう一つの学び
米田さんはベトナムにいる祖母と年齢が近く、私のことを孫のようにかわいがってくれました。フィールドワークのことだけではなく、私のいろいろな話にもいつも親身になって耳を傾けてくれました。その温かさにふれ、私にとって大きな存在になっていきました。
フィールドワークが終わったあとも、何度か富士市を訪れています。富士市の魅力を知ってほしいと思って友人を連れて行ったときも、米田さんは市内を案内してくれました。私にとって米田さんは、「日本のおばあちゃん」のような存在です。
研究を目的に訪れたフィールドワークでしたが、人と人がつながる温かさを知ることができ、私にとって大きな学びとなりました。
長年暮らすまちの新しい景色を見る
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読み聞かせ団体 おとぎのへや 代表 米田 容子さん
私にも新しい発見
私は、「おとぎのへや」という読み聞かせ団体で活動しています。
須津地区まちづくり協議会から、静岡大学の学生が「こどもの居場所づくり」をテーマに地域を調査すると聞き、手伝うことになりました。
調査では、地域にあるこどもの居場所の一つとして、放課後児童クラブや、かつて茶道教室を営んでいた知人など、こどもと関わりのある場所を案内しました。
ニーさんと一緒に須津を巡る中で、私自身にも新しい発見がありました。
案内して見えたもの
私は43年間須津に暮らしていますが、ニーさんの希望で初めて駄菓子屋を訪れました。
店内では、お店の人たちがこどもたちに買い物の仕方や人との関わり方を教えていて、親や学校の先生以外の大人と関わることができる環境があるということに驚きました。現代ではそういうつながりが希薄になっていると思っていましたが、この店には存在していたと知り、とても温かい気持ちになりました。
最初にこの話を頂いたときは、学生の調査に協力するつもりで参加しましたが、ニーさんと関わることで、ふだんは見過ごしていた地域の魅力や人と人のつながりに気づくことができました。
また、ふだん活動する読み聞かせとは違う形で、こどもの居場所を見る機会にもなり、今後の活動に活用できると感じました。
スケジュール
1日目
13時
- 地域の人たちと面会(通称「お見合い会」)
- 翌日以降のアポイントメントの取得
17時
- 宿にチェックイン
- ノートの整理
2日目
9時
- 木俣商店(駄菓子屋)への訪問
13時
- 宮下商店と清水商店(どちらも駄菓子屋)への訪問
夜
- ノート・データの整理
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(画像説明)写真1点
3日目
9時
- 全員でミーティング
- 教員と研究テーマと方向性の相談、まち歩き
13時
- 再び木俣商店と宮下商店を訪問
- 茶道教室を営んでいた先生を訪問
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(画像説明)写真1点
4日目
9時
- 須津まちづくりセンターを訪問
13時
- 須津児童クラブを訪問
- 米田さんの話を聞く
5日目
9時
- 全員ミーティング、フィールドワークの振り返り
フィールドワークに密着した結果
人と出会い、関わる中で、地域も学生も、見える景色が少しずつ変わっていく――――
その過程に立ち会いました。
出会いが、学びをつくる
学生にも、地域にも、新たな発見
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静岡大学 人文社会科学部 社会学科准教授 彭 宇潔さん
私の専門である文化人類学では、学びをより確かなものにするため、フィールドワークが欠かせません。
近年、全国的に若者が減少する中、地域でのフィールドワークは、活気ある若者がその地に足を運ぶきっかけとなっています。
学生が地域の人たちと交流することで、地域の魅力や課題など、住民だけでは気づきにくいことを発見できることがあります。そして、学生たちとの交流をきっかけに、地域の人たち自身が新たな気づきを得たり、地域活動につなげたりすることもできます。それがフィールドワークの大きな魅力です。学生にとっても、積極的に地域と関わる姿が見られ、主体性が芽生えるようになります。現地でしか得られない「目で見て、肌で感じる」経験は、確かな研究成果へとつながっています。
学生と地域の双方から「交流できてよかった」「地域について新しい発見があった」といった声を聞くことができ、お互いにとってよい効果があると実感しています。
富士市ならではのあり方を
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富士市企画課 大石 歩 主査
「大学がないまち」となった富士市に、どうすれば若者を呼び、大学生との関わりをつくり、施策に若者の考えや視点を取り入れられるのか。現在も試行錯誤を重ねながら、フィールドワーク事業に取り組んでいます。
令和6年度には活動の拠点となる「ふらりば」を設け、令和7年度からはフィールドワーク推進補助事業を始めました。
ですが、取組はまだ発展途上です。大学生と継続的な関係を築くにはどうすればよいか、市民や企業の皆さんは大学とのどのような連携を望んでいるのか、多くの課題を抱えています。これらの課題と向き合い、柔軟に進め方を見直しながら、富士市ならではのあり方をつくっていけたらと考えています。
ふらりばサポーターになりませんか?
「フィールドワークのまちふじ」の実現に向け、大学生などの受入れなどを応援してくれる「ふらりばサポーター」を募集しています。
こんな人を募集します!
- 学生などの受入れに協力してくれる人
- コーディネート、相談などに協力してくれる人
- そのほか「フィールドワークのまちふじ」の実現を応援してくれる人
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いつもの風景を、誰かのまなざしが変えてくれることがあります。
地域を訪れた学生が見つける、暮らしの魅力。
学生との対話を通して、地域の人が気づく身近な価値。
地域で学ぶ学生と、学生を迎える地域。
その出会いが学生の学びを深め、地域にも新しい発見をもたらします。
そのような温かなひとときが、これからもこのまちのあちらこちらで生まれていきます。
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