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紙を「作る」から「価値を創る」へ。株式会社亰王がAIの眼で捉えた、ソリューション営業の真髄。

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  • 企業紹介
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  • DX

富士山麓に位置する「紙のまち・富士市」。この地で昭和37年から歴史を刻んできた株式会社亰王がいま、大きな変革の渦中にあります。

伝統的な製紙業から、付加価値の高い紙加工業への劇的な業態転換。そして、AIを活用した徹底的な業務の「ミエル化」。その最前線で指揮を執るのが、総務・経理部門を統括し、社内のDX推進の要となっている常務取締役の林和博さんです。

老舗企業がなぜ、AIという未知の領域に足を踏み入れたのか。林さんが語る「DXの真実」に迫ります。

「京王製紙」から「亰王」へ。生き残りをかけた断腸の思いと、新たな挑戦

「製紙をやめる。その決断は、会社のアイデンティティを削るような、非常に重いものでした」

林さんは静かに、しかし力強く語り始めました。2019年、同社は長年親しまれた「京王製紙」という名を改め、製紙部門からの撤退を決めました。かつては自社で紙を抄いていましたが、現在は地元の協力会社に原紙を委託生産し、自社は「加工」に特化する道を選んだのです。

「数字を見れば、製紙部門の維持が厳しいことは明らかでした。でも、ただやめるのではない。培ってきた『紙の知見』を武器に、お客様の困りごとを解決する『ソリューション営業』に舵を切ったのです」

その象徴が、耐熱・耐油性に優れた特殊加工紙です。ピザを箱に乗せたままオーブンで焼き、そのまま食卓へ届けられる。この「1工程を減らす」提案が、プラスチック容器からの転換を促し、顧客のコスト削減とSDGsへの貢献を同時に実現しました。

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「記録」という苦行からの解放。AIツールがもたらした衝撃

事業が進化する一方で、組織の「情報共有」には課題が残っていました。特に、熟練の製造技術や営業の細かな交渉ノウハウは、個人の頭の中にしかない「暗黙知」の状態だったのです。

そこで導入されたのが、AI文字起こしシステムでした。

「最初は半信半疑でした。でも、会議の場に置いておくだけで、発言がリアルタイムでテキスト化され、要約まで自動で生成される。このスピード感には度肝を抜かれましたね」と林さんは笑います。

これまで同社では、会議に出席していないスタッフが録音を何時間も聞き返し、必死に議事録を作成していました。その「記録」という重労働が、AIツールの導入によって劇的に姿を変えました。

「議事録作成は『作業』であって『仕事』ではありません。AIが作業を引き受けてくれることで、私たちは『次のアクションをどうするか』という、人間にしかできない考える仕事に集中できるようになったのです」

「言った・言わない」を超え、経営の精度を高める「言葉のミエル化」

AIツールの活用は、会議室だけにとどまりません。林さんが特に効果を実感しているのが、営業現場での活用です。

「営業マンの報告というのは、どうしても本人の主観が入ります。『いい感触でした』という報告を鵜呑みにするのではなく、AIツールで可視化された実際の会話データを確認する。すると、実はお客様の真のニーズは別のところにあった、という気づきが得られるんです」

客観的なデータに基づき、経営層が「この案件は優先順位を上げよう」「ここはアプローチを変えよう」と、より精度の高い判断を下せるようになる。これこそが、林さんの目指した「業務のミエル化」の真髄です。

この取り組みによって月間約38時間の業務時間が削減されました。しかし林さんは、この数字以上に「情報の密度」が変わったことを強調します。

2030年問題を見据えて。老舗がデジタルを武器にする理由

「いま、事務所を支えているのは私を含めた就職氷河期世代のベテラン層です。彼らが一斉に退職を迎える10年後、もしノウハウが個人の頭の中にしかないままだとしたら……。それは会社にとって最大の危機です」

林さんが抱く強い危機感。それは、富士市の地場産業全体が直面している課題でもあります。 若手への技術承継、そして深刻な人材不足。これらを解決するには、デジタルを「当たり前の道具」として使いこなし、誰でも情報にアクセスできる体制を整えるしかありません。

「DXは魔法ではありません。最初は戸惑う社員もいました。でも、AIツールを使って『あ、こんなに楽になるんだ』という成功体験を一つずつ積み重ねることで、組織のマインドが少しずつ変わり始めています。この『マインドの変化』こそが、補助金を活用して得られた最大の成果かもしれません」

富士市の未来を、紙とデジタルで描く

「私たちはこれからも、富士山の麓で『紙』にこだわり続けます。でも、そのやり方は常にアップデートしていかなければならない」

インタビューの最後、林さんは窓の外の富士山を見つめながら、力強く結びました。伝統ある老舗企業が、AIという翼を得て、次なる100年へと羽ばたこうとしている。株式会社亰王の挑戦は、富士市のモノづくりの未来を明るく照らしています。

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【企業紹介】株式会社亰王

富士市比奈に拠点を置く。パッケージ用特殊加工紙や食品用機能紙の企画・製造を手掛け、「脱プラ」の流れを汲んだ環境配慮型製品を展開。顧客の課題を解決する「ソリューション営業」と、最新のDXツールを駆使した効率的な組織運営で、次世代のモノづくりを体現している。

株式会社亰王公式サイト:https://www.keiopaper.co.jp/

 

本事業(富士市中小製造業・業務ミエル化補助金)は国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用した事業です。

 

お問い合わせ先

産業交流部産業支援課地域産業支援センター(Beパレットふじ)

富士市永田北町3-3 富士市立中央図書館分館2階

電話番号:0545-52-6777

ファクス番号:0545-52-6788

メールアドレス:sa-shien@div.city.fuji.shizuoka.jp

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