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創業100年の老舗が「スタバ」に?色八屋が挑むオフィス改革。
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- 特集
富士市の中心部に位置し、大正15年の創業から100年という節目を迎えた「株式会社色八屋」。地域に根ざした老舗の印刷会社として歩んできた同社がいま、これまでの常識を覆すような劇的な進化を遂げています。
伝統ある看板を守りつつ、デジタル時代の最先端へと舵を切る代表取締役の服部伸也さん。その変革の裏側には、単なる業務効率化に留まらない、「富士市で働くこと」の価値を根底から変えていこうとする情熱的な挑戦がありました。
「管理」から「信頼」へ。クリエイティビティを最大化するマネジメント
「極論を言えば、プロとしてクライアントが求める最高のデザインを提案できるなら、場所はどこだっていいんです」
服部さんの言葉は、実に軽やかで本質を突いています。色八屋がいま最も大切にしているのは、社員一人ひとりの主体性です。かつてのような、社長が細かく指示を出し、進捗を管理するスタイルはもう過去のものとなりました。
「今のデザイナーたちは本当に優秀です。だからこそ、私は彼らをプロとして信頼し、細かな管理ではなく『任せる』ことを選んでいます。オフィスにいなくても、自宅でリラックスして集中した方が良いアウトプットが出るなら、テレワークで進めるのがベスト。大事なのは、会社に来ることではなく、お客様に喜んでいただける価値を届けることですから」
この「結果重視」かつ「信頼ベース」の考え方は、テレワークの積極的な推進にも直結しています。会社という「箱」に縛られるのではなく、個々のクリエイティビティが最も発揮できる環境を尊重する。その柔軟さが、同社の新しい文化の柱となっています。

「自社育成」と「外部連携」。成長を支える2軸の戦略
服部さんが戦略として掲げているのが、自社スタッフの育成と、外部フリーランスの活用という「2軸」の運用です。
「自社のデザイナーをゼロから大切に育て上げることは、会社の魂を作る作業です。一方で、多様な専門性を持つフリーランスの方々の力も欠かせません。この2つの車輪が揃って初めて、今の時代に求められるスピード感とクオリティが実現できるんです」
実は以前からフリーランスのネットワークを立ち上げ、切磋琢磨してきたという服部さん。自社にはない感性や専門スキルを持つプロフェッショナルと連携することで、提案の幅を無限に広げています。自社で腰を据えて育てる「深化」と、外部の知見を取り入れる「探索」。この両輪が、色八屋の強靭な競争力を支えています。
若手の感性が息づく「スタバのような」オフィス改革
自由な働き方を推奨する一方で、服部さんはあえて「リアルなオフィス」の価値にも徹底的にこだわりました。「富士市テレワーク推進フリーアドレス化支援補助金」を活用して実現したオフィスリニューアル。そのデザインプロデュースを任せたのは、若手リーダーの中村さんでした。
「中村を中心に、社員みんなの意見を吸い上げてもらいました。目指したのは、あのスターバックスのような空間。かつての雑然とした雰囲気は一掃され、今では洗練された照明と心地よいBGMが流れる、クリエイティブを刺激する拠点に生まれ変わりました」
テレワークができる時代だからこそ、「あえて集まりたくなる場所」にする。フリーアドレスを導入したことで、部署の垣根を超えた対話が自然に生まれ、ちょっとした雑談から新しいアイデアが芽吹くようになりました。気分転換に席を変え、リラックスした雰囲気の中で思考を深める。そこには、老舗企業のイメージを覆す、新しいエネルギーが満ち溢れています。

ライフステージに寄り添い、富士市で「長く働く」を叶える
新しい働き方の波は、制度面にも深く浸透しています。色八屋では、産休や育休といったライフイベントに対する配慮を欠かしません。
「若いスタッフが多いからこそ、結婚や出産、育児といった変化に柔軟に対応できる職場でありたい。せっかく育った優秀な才能が、生活環境の変化で途絶えてしまうのは、会社にとっても富士市にとっても大きな損失ですから」
テレワークや自由度の高い勤務スタイルは、こうした「働きやすさ」の強固な土台となっています。富士市で暮らし、キャリアを諦めることなく、自分らしく働き続ける。そんな地方都市における理想のワークスタイルを、同社は先んじて体現しようとしています。

富士市のクリエイターを勇気づける、光のような存在へ
「富士市にはデザインを学びたい、働きたいという若い子がたくさんいます。でも、その受け皿がまだ少ない。色八屋を、地元の子たちが『ここで働きたい、ここなら自分を表現できる』と憧れるような会社にしたいんです」
現在、同社は「まちの駅」としての登録も進めており、地域のクリエイターが気軽に立ち寄り、交流できる拠点づくりにも取り組んでいます。地元の焙煎士が淹れるコーヒーを片手に、作品を展示したり、情報交換をしたり。その交流が、また新しいデザインのヒントになり、街の活気へと繋がっていく――。
100年の歴史を背負いながら、誰よりも自由で、誰よりも若手の未来を信じている服部さん。その想いに導かれるように、富士市の新しいクリエイティブが、この場所から次々と生まれていく。その確かな予感が色八屋にあります。
【企業紹介】株式会社色八屋
大正15年創業。パンフレット、名刺などの印刷から、看板、ロゴデザイン、WEB制作、SNS活用支援まで、企業のブランディングを一貫してサポート。テレワークやフリーアドレス、外部パートナーとの協働を積極的に導入し、次世代のクリエイティブ環境を構築。「デザインの力で地域を元気に」を掲げ、若手育成と地域交流に尽力している。
株式会社色八屋 WEBサイト:https://irohachiya.com/company/










